「あいだ」について
先に描いておきます。今回の原稿は、途中で書き続けるのを諦めちゃいました……。
では、途中までのお話しをどうぞ……。
30数年前に、ある小児科の医師が「最初は患者の治療しか頭に無かったのだが、患者だけの問題としてとらえると治療の進展が望めず、家庭や学校など周りの環境も調整しないと根本的な問題が解決しないということが見えてきて、各方面と協力して対応を試みることで、一定の成果が見えるサポートシステムができあがったのだが、時間が経過すると、必ずシステムに乗らない状態の患者(つまり問題なしの状態の人と患者と認定される状態の人の中間に当たる状態の人)がクローズアップされてきて……対応を考えるということを繰り返して、きょうまで来てしまった」という話を聞かせてくれたことがあった。
あれから30数年になるが、その小児科医の元には心療内科医、精神科医、児童精神科医、看護師、心理士、心理師、教育関係者……ら、が集まって活動が続いているという情報が届いている。
私が始めて「独特な特性を示す子」に出会った頃、「早期幼児自閉症」というコトバを聞いた。
その後「カナー型自閉症」「アスペルガー型自閉症」「軽度発達障碍」……など似ているのだけど微妙な違いを表そうとするコトバを次々と耳にするようになった。そう言えば「微細脳損傷」というコトバもあった……。
その後、「広汎性発達障碍」という表記に出会うことが多くなり、DSMというインデックスのバージョンがⅢからⅣ……さらにⅣRとかⅣTRと枝番号が付くようになった頃には「スペクトラム」という表現に出会うことが多くなりDSMが5になったときには「ASD(自閉スペクトラム症)」というコトバが示されるようになった。
実際の状況は「スペクトラム」や「グラデーション」という特徴を持った事象として記録されることになる。対処や対応を試みようと対象に焦点を当てる作業をすると、世界の中から対象を切り出すことになり、世界と対象の間に境界線ができてしまう。
つまり、「あいだ」が空いてしまうのだが、細かいことをを言うと「境界線」が「あいだ」なのでは無く、「あいだ」は「境界線の外側」にできると思われる……のだ……「あいだ」と「あいだ」の「あいだ」に存在するのか「境界線」ということになる。
なんだかコトバだけがグルグル回っているようで、イメージが湧かない状況になってしまうが、図で示すようなことをすると「境界線」が「輪郭線」とゴチャマゼになってしまって、話がさらにややこしくなりそうに思えるので、図で示すことも難しい。
「境界線」を「輪郭線」と区別しておいたほうが良いのでは無いかと思うのはなぜかと言うと、「境界線」は「あいだ」と「あいだ」の「あいだ」の存在なのだが、「輪郭線」は「背景」と「対象(図形)」を分ける役目をするのだが、所属先が「対象(図形)」ということになるので「境界線」とはチョット違うのだ。
これについてはイメージで説明ができる……紙を用意してペンで図形を描いてみると、当たり前の様にそこに図形が見える、背景と図形を分けている線が「輪郭線」ということになる……ここまでは実際にやってみなくてもイメージできると思う。ただ、イメージで考えているだけだと、やっぱり「境界線」と「輪郭線」は同じじゃないか……と思えてしまうのだが、じゃあ、実際に紙とペンを用意して「△(○でも良いけど)」を描いてみて……。
実際に描いた三角形を見て、その三角形はどこまでと感じているか確認して……いやいや、確認も何も線を描いたから三角形が見えているんじゃないか……と感じているだろうけど、そうすると、つまり三角形という図形を見せているのはペンの線であり、ペンの線は「図形である三角形に所属している」ことになる。つまり「輪郭線」は「図形の要素として認識されている(図形の一部に属している)」わけ。
話が脇に逸れた上にますますややこしくなってきてしまった……始から書き直すのももったいないし……このまま、「ブチッ」と切ってしまうことにしましょう。「スペクトラム」とか「グラデーション」の現実世界を「0と1」のデジタルで処理できると良いのにと思ったりしますが、現実のデジタル処理にも「あいだ」があるんですよね……。
デジタル処理の「お約束」の一つに「電源電圧Xボルトで処理をする場合、ゼロボルトから3分の1Xボルトまでの値を「0」として処理し、3分の2XボルトからXボルトまでの値を「1」として処理する……ということが取り決めになっていて、「あいだ」の、3分の1Xボルトから3分の2Xボルトは「処理の対象にしない」ということになってるんですよ。
スマホを開発するときに「あいだ」を極力無くすことでコンパクト化がなされたようだけど、内部のデジタル処理の部分に「3分の1の幅」の「あいだ」が空いているんですよ……。
(スタッフT)