2020年2・3月号 KSCE通信 「革新の伝統」

「革新の伝統」


 新年そうそうにパソコンのオペレーティングシステムの変更を迫られた。やっとの思いで自分好みの使い勝手に調整することができた「Windows7」のサポートが切れてしまうということで、「Windows10」に乗り換えなくてはならなくなった。
パソコンをいじるのは嫌いじゃないので、趣味用のパソコンを自分のペースで変更を加えたり改造したりするのは楽しいのだが、仕事用のパソコンは、そもそも効率を上げるための道具として設定しているので、パパッと乗り換えて、変わらず効率的に仕事を進めたいのだ。

 ところが、基礎となるオペレーティングシステムを変更するというのは、建物で言うと「家の基礎を変更する」という作業になるので、以前の使い勝手を維持しようとすると、「上物を持ち上げて、基礎を打ち直す」というわけに行かない部分も出てくる。
 手順としては「上物を分解して取り除いて、基礎を打ち直し、改めて建て直す」ということが必要になってしまう。選択肢として「OSのアップデート」というものも有るのだが、「Cドライブ」にけっこう大きな残留物が残ったり、「キゲン良く動いていたドライバ」が不穏な動きを見せたり、正常に働かなくなったりするような症状も出てきたりする。

 そもそも、それぞれのソフト(最近はアプリケーションと呼ぶようになってきていて、混乱させられる)に対して、これまで仕事の効率を上げるために加えた設定が、再インストールすることで初期状態に戻されてしまったりするし、それ以前に、DVDドライブなんて外してしまっているから、長年使ってきた古いソフトを再インストールしようとすると埃をかぶった外付けドライブを引っ張り出して接続することになったり、ユーザーIDを探し回ったりするはめになる。
 ただ、これまで「プログラムとファイルの検索」という欄に「regedit」とか「cmd」という文字列を打ち込んで使ったことのある人には共感してもらえるだろうが、こんな苦労は買ってきたパソコンをそのまま使っている人には無いのかも知れない。

 オペレーティングシステムのことで、長々とグチってしまったが、先日、テレビで「コギャル(の代表)」のように言われていた女性が、「アタシ、平成に取り残されちゃったのかも……」と言っている場面を見ることがあった。「BGM」的に流していたので詳細な流れを把握できていないのだが……。
(一応、解説しておくと、ここでBGMと表現したのは「いわゆる背景音楽(BGM)」というのでは無く、何か日常の作業をしているとき、「音楽って気分じゃ無いな」ということで、「背景動画」としてテレビをつけっぱなしにするという意味でのバックグラウンドムービーの略でBGM)で、話しの概要は平成(初期から中期)生まれのコギャルが、平成(後期以降)生まれの令和のコギャルの使うコトバと使うコトバが少し違ってきているということで、「アタシ、平成に取り残されちゃったのも……」との発言になったという話し。

 コトバというのは、変動していくものなので、時間の経過で違ってくるのが当たり前なのだが、どの時代でも革新的な創造物(言語も)は、最先端ではあるが、同時に無実績でもあるので、栄枯盛衰が激しい。革新的なものを使いたい人は使えば良いと思うが、情報として押さえておくのは良いだろうが、知識として覚える必要は無いと思う。実際、令和に入って多くの人の日常会話にまで入ってきたコギャルやギャルオの言い回しは、それほど多く無いと感じる。ほとんどは革新的(斬新な)表現として出てきたものの、実績を残せないまま消滅している。逆に「ナウい」などという表現は「古い」「ダサい」などと言われながら昭和生まれにも平成生まれにも意味の通じるコトバとして実績を重ね続けていたりする。(まあ、どこまで生き残るかは分からないが……)
「革新的なものは実績を残せないと消滅する」というのが「革新の伝統」なのだと思う。

 オペレーティングシステムは、今のままの方法で革新に革新を重ねていくのだろうか……それだといつまで経っても「伝統のOS」は出てこないことになりそうだ……。
どこかでオペレーティングシステムをROMにして提供するという伝統手法が生まれないものだろうかね……。(このフレーズは、9801を知っているような一部の人にしか通じないかも……そういう意味では革新的発想になるのだろうか……。)

(スタッフT)

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